3.《ネタバレ》 採点不能に近い。
ハリウッド俳優のハーベイ・カイテルを主演に据えているものの、
3時間近い上映時間に長回しと政治的要素が強いため、映画館で観ていたら確実に寝ていただろう。
本来のアンゲロプロスの作風が純度100%詰まっている。
しかし、映像に目を見張るものがあるのは事実で、
白黒からカラーに移り変わる際に現れる青い船、ワンカットで捉えた数年に亘る元旦のパーティー、
運河を渡る巨大なレーニン像、雪のサラエボ市街の交響曲と霧の中の虐殺が目に焼きつく。
映画の歴史とは常に真実の記録と表現の闘いの歴史であって、
かつて独裁国家であったギリシャや旧ユーゴとは無関係ではないはず。
1995年のカンヌ映画祭では、クストリッツァの『アンダーグラウンド』が最高賞、
本作が次点であると見るに、当時の旧ユーゴ内戦の関心度の高さが伺える。