1.《ネタバレ》 私は「カレンダーガール」とかこの手の話は好きなんですが、どうもこの作品には素直に喜べないものがある。
マルタという女性のキャラクターは、強くて気品があって、いいと思う。
どうにも理解に苦しむのはフリッツとヴァルターという暴君な男性2名。
とくにフリッツなんか、あまりにも「悪者」にしすぎじゃないでしょうか。これでは、子供向け童話に出てくる悪者そのまんまじゃないですか。
でも見ているのはアダルトなんです。バカにしているのか?
実際の人間は「いいもん」と「わるもん」に分けられるほど単純じゃない。アダルトのみなさんはそのことを知っています。そしてこのお話だったら、「わるもん」を出してくるのはおかしいと思うのだ。
フリッツの人間らしさを「わるもん」としてではなく描写した部分がちょっとでもあったでしょうか?ヴァルターは最後の最後でそれを与えられていますが、フリッツには最後までありません。
さらに、店を破壊して「器物損壊罪」という警察沙汰になる危険をおかしてまで、他人のフリッツがマルタを攻撃するほどの理由が、それも説得力のある理由が、どこにあるでしょうか。
「良俗に反する」という理由だけで、そんなに他人のすることを邪魔するヒマと体力があるでしょうか。
そのへんがこの作品を飲み込めない、なにか「異常さ」を感じてしまう原因です。
全体を流れるテーマとして、「男性は女性が居ないと生きられず、夫でも息子でも何かと女性の足を引っ張るが、女性は男性を排除するのではなく折り合って共存していく。」ということが感じられます。
マルタたちのグループは、どんなにひどいことをされても「男性排除」は考えていないのです。しょせん女性は男性が好きなんですから、そんな非現実的なことはできないししないのです。
そういう意味でとても大人です。でも、男性たちの「異常さ」を感じてしまうのも事実。もっと、大人の童話風にトゲを抜いて作ってくれてもよかったのにね。80歳を超えていれば、それでもアリだと思うし。