1.《ネタバレ》 私の大叔母は、私が中学2年生の時に乳癌で亡くなりました。
昭和初期生まれの方でしたが、当時では珍しいほどの「巨乳」だったそうです。
大叔母の姉である私の祖母も「決して小さくない人」だったそうです。
時は流れます。
私の伯母は「小さめ」ですが、私の母も「大きい」部類だったようです。
そして私も、どうやら一般的に見ると「巨乳」だそうです。
俗説では「巨乳の方が乳癌になりやすい」とよく耳にします。
私は、隔世遺伝的に我が身に乳癌の恐れがあるのではないかと、内心震え慄いています。
妹や従姉妹たちを見回しても、皆わりと「小さめ」な為、不安感の増幅は半端ありません。
遺伝ってすごい。そして恐ろしい。
…無駄話をして申し訳ありません。
つまり、私にとってこの映画は、他人事では済まされない大きな衝撃を残したのです。
私は、もし自分が乳癌になっても、あのような決断を下せる自信がありません。
大叔母の最期を目にしているだけに、恐らく、私には出来ないと思います。
乳癌の痛みは、それはそれは酷いものだそうです。
もし、サトエリのように死ねるなら…
痛いは痛いのかもしれませんが、あのように我慢出来て、綺麗なままで逝けるのなら、
私も、愛する人の為に死を覚悟出来るかもしれません。
しかし、多分現実は、もっと酷で壮絶だと思います。
だからこそ、サトエリのような決断を下せる女性は、フィクションだとしても尊敬に値します。
乳癌や婦人科系の病気は、女性の精神にとても大きな傷を残す病だと思います。
特に「乳房」は、身体的に判りやすい「女性としての特徴、また象徴」でもあるだけに、
それを残して死を選ぶという決断は、同じ女としても頭が下がる思いです。
でも、いったい世の中の女性の何人が、サトエリと同じ決断が出来るかな?と考えると、
限りなく少ないのではないかな…と思います。
女だからこそ解る苦しみや苦悩が、本作では描ききれていないのです。
もう少し女性としての葛藤を見せてくれていたら、また違った印象だったのかな…と思いました。
と言うことで、5点とさせて頂きました。
余談ですが、最近では乳癌になって切除を余儀なくされたとしても、
お尻、お腹、太腿などの余分なお肉を使って、乳房を再生することが出来るそうです。
この朗報を二人が知っていたら、どうなっていたのかな…と、余計な思いを馳せております。