4.《ネタバレ》 『コンドル(シドニー・ポラックの方)』におけるレッドフォードみたいに、仲間を殲滅させられる中でミラ・ジョヴォヴィッチがひとり、たまたま生き残ってしまうのですが、そこはそれ、レッドフォードとは体のキレが違うので、こちらは追跡劇を全面に出したアクション映画になってます。
が、ヒロインのタフさと作品のスピード感を重要視しすぎたんですかね。ひとり追われる「不安感」みたいなものが、これほどまでに何も感じられない、ってのも、何だか張り合いがない。街中だろうが、暗い地下道にネズミがうごめいていようが、まるでお構いなし。どんな場所でも、ただ逃げるだけ。ちと単調。もう少し、それぞれの舞台、それぞれのシチュエーションを活かせないものでしょうか。
時々挿入される監視カメラの映像が、見張られている感じ、どこにも逃げ場がない感じを出そうとしてるんでしょうけれど、それが物語にほとんど活きておらず、さっぱり効果的じゃない。無事に空港を突破できるか、というくだりなどでは、他者の視線を強調するサスペンスで盛り上げようとしてますが、そもそもこんな簡単に国外に脱出できるってのが、リアリティ云々以前の話として、あまりに緊張感に欠けるのでは。
そこまでしてラストの舞台をニューヨークに持ってこなければいけなかったのか、という、9.11の呪縛。
そこまでしたにも拘わらず、意外性も乏しければ、「もはや引き返せない」という焦燥感も乏しい、終盤のテロの描写。『ブラック・サンデー』のクライマックスの盛り上がりを思い出すにつけ(確かにスピード感は無かったけどね)、本作が物足りなく思えてしまうのです。