1.《ネタバレ》 ホアンの素顔や死も、男同士の愛戯も、母の生業と末路も、シャロンの麻薬ディーラーとしての側面も、省略または隠蔽、排除され間接的な表現にとどまっている。
唯一ある暴力を介したいじめも肉体感覚を伴いながら描かれる事はない。
重いと思われるであろうテーマから醜さや汚らしさを漂白し、テーマの表面を滑走していく物語。
全てを見せる事が良い事とは思わない。むしろ過剰よりは不足、省略に美学を感じる。
ただ、繊細な男の繊細な愛を描くにしては、あまりにも相対的に粗雑さや細部が欠け、行間に頼り過ぎなのではないか。
そして粗雑さがない世界では繊細さは生まれないのではないか。