1.《ネタバレ》 小さな嘘が大きな嘘へ、大きな嘘が大きな過ちへ。
先日、オスカー監督になったダニエルズの片割れ、シャイナートによるブラックコメディ。
全編シリアスムードながら、杜撰な証拠隠滅とアリバイ作りで雪だるま式に状況が悪化していくさまが、
コーエン兄弟の『ファーゴ』を思い出す。
友人の死の真相と二人が隠し通そうとしていた秘密──それは馬との獣姦(それも受け側)。
まさにタイトル通りで2005年にあった事故がモチーフだとか。
行きついた究極の快楽と引き換えに、家族が知ったら絶縁されるレベルで主人公は全てを失ってしまう。
この"しょーもなさ"にどこか哀愁を感じてしまうし、それでも人生は続いていく。
誰だって人には言えない秘密はあるし、型に嵌って生きていかないと排除されてしまう社会に対する、
監督の人生訓は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』にも受け継がれている。
相手側が出資を躊躇うくらいの胆力がないとあんな映画は撮れない。
人間には計り知れない可能性がある。
型に嵌りすぎて潰れてしまう前に、時には羽目を外してガス抜きしないと。
もちろん限度はあるけどね(ネット炎上とか)。