4.《ネタバレ》 原題を直訳すると「この島 地球」としかいいようがないと思うが、少し意訳すると「宇宙の孤島、それが地球」というような感じでいいだろうか。内容的には、高名なメタルーナ・ミュータントが実は頭悪そうだとか、宇宙の場面が出るのが遅いとかいう不満はあるが、基本的には真面目に作ってあるので好印象である。
ところで、この映画を見て驚いたことが二つある。
一つは(些細なことだが)夕食の場面で、女性の研究者が「モーツァルトは美しいですわ」(字幕)と言っていたのがフィンランド語だったことである。なんで1955年公開のアメリカの特撮映画に突然フィンランド人が???と、ここで一瞬目が点になった。そのあとドイツ人の博士がドイツ語でしゃべっていたので、フィンランド人がフィンランド語でしゃべるのも不思議はないだろうが、そもそも劇中ではフィンランド人という説明も何もなかったようなので、ほとんどの観客は何語だったか知らないまま一生を終えるだろう。逆にフィンランドでこの映画が公開された際(米公開と同年)には、地元民も目が点になったのではないか。アメリカ人も妙な遊び心があるものだと思う。
もう一つは、敵の攻撃を受けているメタルーナ星が、遊星爆弾で攻撃されるガミラスのように見えたことである。さらに敵の本拠地はもと彗星だったという話まで出ていた。わが国の誇るSF風アニメの元ネタ(パクリネタ)がこんな所にあったということで、これは本当に驚いたが、それをいえばメタルーナ・ミュータントのデザインも、後に「ウルトラマンタロウ」の宇宙人にパクられている。日本としてもイマジネーションの源泉をこの映画に多く求めているようで、やはりこれは特撮の古典的名作だと思うしかない。