2.《ネタバレ》 この作品からは、優しさが感じられます。
それも、押し付けがましい優しさではありません。
演出された優しさではなく、自然体から滲み出るような優しさ。
鑑賞中、まるで小説を読んでいるときのような、人物の心の機微を感じられる良さがあります。
とは言え、映画として、これって面白いのでしょうか。
よくある話をドラマ仕立てにしただけで、映画として見応えのあるものになっているとは思えません。
七面鳥を持って行ったり来たり。もっとコメディタッチであれば笑えるのですけど、変にリアルな作風であるため、こんなに誰もオーブンを貸してくれないものかと、不自然さを先に感じてしまいます。
それに、そんなに家族との再会を大切にしているのであれば、『事前にもっと準備しておけよ。』とも思うのです。
家族が様々なトラブルに見舞われて、来るのが遅くなったのはただの偶然。
実際は、七面鳥を持ってうろうろしていた時に来た可能性だってあります。
段取りの悪さ、見通しの甘さに、若干イライラしたせいで、ストーリーに入り込めません。
『人生をきちんと生きている自分を、家族に、母に見てもらう。そして母ともう一度やり直す。』
素材はすごく良いのに、うまく調理しきれなかった感じです。
まさにこの映画に出てくる料理のようです。