1.《ネタバレ》 フツーであろうとすることへの冒険、ってモチーフは面白い。金銭的に追い詰められていない状況で、金のための仕事をしてみたい、なんてのはおそらく歴史始まって以来、庶民階級が初めて経験する心性だろう。家政婦とか役所とか、「地味」に挑戦していく。ここらへんをもっと徹底して描くべきでしょうな。彼女ももっと本気で挑戦すれば、別の面白さが出たはず。この「マジメごっこ」というゲームを、もっと真剣に遊んでほしかった。ま、その遊びもグズグズと出来なくなってしまうところが、ぬるい現代の表現なのかもしれないが。ラスト、妊娠・出産に話を着地されると、「女性のやっているフツーのことが偉大な事業だった」というすわり心地のいい結論に落ち着いてしまい、がっかり。オーレ・アッティカ嬢はベアトリス・ダルから影を取ったような女優さん。ロジー・デ・パロマ嬢の顔も見慣れてくると、最初ほどインパクトない。海鳥が屋根へ降りる影が、壁をスーッと上るとこ。