2.《ネタバレ》 姉と弟が親父と車で出かけたピクニック、しかし親父は突如一家心中を図り、車に火を放ち自分だけが死んでしまう。親父の窮地を知らなかった姉弟にとってはまさに晴天の霹靂、世間の厳しさを知らなかった彼らがオーストラリアの砂漠に取り残され、「世間」を通り越して「世界」の厳しさに晒されることに。美しき冒険旅行どころか、立派に命がけのサバイバル行脚となりますが、そこでひとりのアボリジニの少年との出会いが。彼もひとり砂漠を行く身だが、これはWALKABOUTという彼らにとっての成人式。この少年、さすがにこの原野に生まれ育っただけのことはあり、砂漠での水・食糧の調達に通じたサバイバルの達人、ニコニコと何の苦も無く砂漠での生活をこなしていく、実に頼もしいヤツなのです。が、姉弟にとっては慣れぬ地、慣れぬ生活ゆえの一時的なサバイバル、しかしこの少年にとっては、(いくら余裕ありげに見えても)人生そのものが命がけ。その彼らの間に横たわっていた差異が、一軒の家にたどり着いたとき彼らへ突きつけられることとなり、やがて悲劇へ。やがて姉弟の「冒険旅行」は何の変哲もない日常との再会によって突然終わりを告げ、特にここでは、「よく無事に帰ってきた」という歓迎を受けることもなく「勝手に庭に入ってきた邪魔者」として扱われるのが皮肉です。月日が経ち、日常に埋没してゆく姉が、ふとこの時の冒険を追想するところで映画は終わりますが……ちょっとキレイにまとめ過ぎでかえってピンと来ないのです。曲りなりにもひとりの少年を破滅させた、立派な「毒婦」たる彼女にしては、ちと甘すぎるかな、と。映画全般にわたって挿入的に描写される、文明批評的な部分も、「一応、こういうのも入れときます」みたいな中途半端なものにも感じられるし。それに、「開放的な自然の生活」=「少女がハダカで水浴」というのもまああまりヒネリのないイメージですが、しかし後の作品への影響はそれなりにあったのかな、とも。