1.一貫してハイテンポ。心情なんてそっちのけ。少々ムリを感じるくらいにポンポンと進む。これが新しい映画なのかと思ったら、このムリのあるテンポの速さも納得のお話であった。主人公はムリをしているのだ。かっこつけているのだ。素直じゃないのだ。だからやたらとクールを装い心情をけして吐露することなくポンポンとセリフが飛び出すのだ。だから最期にようやく自分をさらけ出す主人公にホッとする。増村保造のデビュー作はデビュー作らしい新鮮さがある。しかしどこか安っぽい。でもこの安っぽさはデビュー作ゆえではなく増村の味だったりする。