1.《ネタバレ》 原作は既読。映画は1957年の東宝、1965年の松竹がありますが後者。前者は未鑑賞。湯沢温泉を舞台にした作品です。しかし、なぜ作中で「ゆざわ」でなく「ゆむら」にしたし、「越後湯村」にしたし。どうでもいいけど。さて、冒頭が列車のシーンじゃないので、アレッと思い、なぜ省略したしと思ったのですが、途中で出てきます。時系列通りわかりやすくしたのですね。トンネルを抜けたのが昼間になっているのは、夜の雪景色を上手く撮れなかったためでしょうか。原作からして、娯楽要素はほとんどないのですが、結構原作に忠実で、真面目につくられているという印象です。中途半端に客に媚びる改変がないのは好印象です。雪に閉ざされた温泉街の中のメリハリのない話ですが、さほど飽きることなく見続けられてしまうのは、演技の間や、映像の構成など、それなりに完成度が高いのだと思います。若き岩下志麻が綺麗ですが、若くてもやはり凄味があります。加賀まりこがまだ幼さが残っているのと好対照です。もう少し精細な映像だと、雪の白さ、張り詰めた寒さが、より際だつと思うのですが、60年代のカラー映像らしいとも言え、これは仕方のないところですね。