7.《ネタバレ》 総会屋への利益供与事件に揺れる銀行を舞台に、再生に向けた中堅社員たちの奮闘が描かれる。大荒れが予想される、事件後初の株主総会を、無事に切り抜けることができるのか? ってなオハナシですが、まずはこの小難しくなりかねない内容をスリリングな娯楽作にまとめた手腕は、お見事です。
ただ、気になることは色々あって、この会社、そもそも企業体質自体に問題があるだろうに、「現在のダメ幹部」対「一部の熱血社員」という構図に落とし込み、現トップさえ一掃すれば良し(あとは外敵だけだ!)、みたいなノリが、ちと楽観的すぎるんじゃないか、と。ラストの独白によると、大蔵省の方はちゃんと末端まで腐敗してたらしいんですけどね。
クライマックスの株主総会の場面で、荒れる総会の中、新頭取である根津甚八が見せる抑制された必死さが、映画を盛り上げるのですが、その割にこのホノボノとしたオチは何やねん、と。これも随分、楽観的。
あと、椎名桔平をはじめとする脇役たちが、それぞれ個性を発揮してこれも楽しめるのですが、その反面、いちいち状況をまとめたり図星をついたりする「解説セリフ」を挟んでくるのが、ちょっと鬱陶しい。鬱陶しいけどそのおかげで物語を取っつきやすいものにしているのも事実で、映画の題材が題材ですから、ある程度は仕方ないのかな、とも。
ところでこの銀行、各社員の机の上が異常に整理されてますね。これだけちゃんとした会社なら、確かに再生できるかも???