1.〝動〟の世界である映画で〝静〟を描く。この映画の見所は〝凍れる時〟にあると思うのですが…その静止シーンがことごとく良くないのです。皆が静止している中、男一人がいそいそ動き回る奇妙な空間が全くと言って良いほど生かされていません。せっかくナイスバディのお姉ちゃんを店内に揃えているのに何故にもっとじっくりと見せてくれないのか…などと思春期の少年のようなことを言っているのではないのですよ。ぜんぜん時間が止まっている感じがしないと言っているのです。ラストで舞い散る雪が静止するシーンも一瞬しかないので、これは技術的および資金的問題かもしれませんが。
この監督さんはファッションフォトグラファーらしいです。なるほど洗練されたセンスがありオシャレですし、瞬間の美を捕えるその職業に相応しい題材を扱っています。がしかし、やはり映画は瞬間ではなく瞬間の連続ですからしっくりこないのです。意地の悪い物言いをしますと、わざわざ映画にしなくとも文章付きの写真集で十分だったのではないかということです。確かにいくつか凝ったシーンもありますが他の映画から借用してきたレベルに感じられます。この作品の面白さはほとんどキャラクターの奇抜さと普遍の恋愛物語に頼っており、フットサルのシーンなどは取り分け酷い出来だと思うのです。