2.《ネタバレ》 題名からプロサッカーの国際試合を見に行きたい少年のロードムービーだと思っていたが、
そこまで尺を割いておらず、むしろあの手この手であくどい資金調達を行う悪童のバイタリティには驚かされる。
サッカー狂で後先や周囲のことなどお構いなし、それなのに如何にして一つ一つの問題をクリアしていくのか、
シンプルで淡々とした展開ながらサスペンス調の緊張感を持っていくキアロスタミの手腕の良さを感じられた。
テヘランに辿り着いたのは良いが、チケットは売り切れでダフ屋で資金使い果たすわ、
寝過ごして試合を見逃すわで踏んだり蹴ったり。
欲望のために家族にも仲間にも顔を見せられないレベルでやらかしたのだから、
帰れば体罰どころでは済まないが、そもそも有り金使い果たした彼は帰れるのか?
反面教師的なメッセージはあれど、瑞々しさと迸るエネルギーに説教臭くないバランス感覚があり、
律儀で大人しくなった現代日本から見るとその逞しさに羨ましさはある。