1.《ネタバレ》 「海難事故からの奇跡の生還」というあらすじを見て
「お、面白そうだな」と思い借りて観てみました。
見る前は、ある種のサバイバル劇みたいなのを予想して
たんですけど、そういう類いのものではなかったですね。
遭難してる時よりも、むしろ救出された後がメイン。
ハリウッド映画だったら、やっぱり主人公が
もの凄い精神力と頑張り、生きたいという欲求で
奇跡の生還を成し遂げる、みたいになると思うんだけど、
本作の主人公は海に漂っている時に「これだけ果たせたら
死んでもかまわないよ~」ってカモメに言ってるし、
それも生還した最大の理由は肥満体型によるもので、
一種のアザラシみたいな体の作りになってたって。
でも、これは実話ですからね、それはそれでまた
面白いなと思うんです。勿論、検査でも言ってたように
それだけではない、なにか解明できない理由があるとのこと。
確かに、普通の人ならあんなに冷たい海に入ったら
数分から数十分で絶命してしまうでしょう。ところが彼は
6時間も海面にいた。たんなる脂肪だけでは説明がつかない、
なにかもの凄い超人的な作用が働いているのでしょうね。
そんで、救出されてから、彼はもぬけの殻みたいな、
物思いにふけったみたいな感じになっちゃう。
目の前で仲間が次々と死んでいったのに、体の検査が
どうとか、そんな気分じゃねえよってのもよくわかるし、
生還したからって英雄だなんて言われても
困るよって気分でもあるんでしょう。
それに元々が孤独な生活してるからか、
とにかく切なさだけが尾を引く。そんな終わり方でしたね。
実話を一本の映画にする上で、作品としてのメッセージとか
観客が好むような脚色を付け加えるとか、そういうのが
多い中、本作はとにかくそのまんま現実を
映像に収めました、みたいな作りになっていて、
一人生き残った虚無感やらやるせなさはそのせいか
とてもよく伝わりました。