1.《ネタバレ》 「これでもまだ実話」のテロップには参りました。
笑ったら不謹慎なのでしょうが、ついつい頬が緩んでしまいましたね。
マイケル・ベイ監督作としては、非常に異質な内容である本作。
豪華な出演陣と、シニカルなストーリーのギャップにも、ちょっと戸惑うものがありましたが、何処か作り手が楽しんでいるというか
「こんな馬鹿げた事件があったんだよ。どう? 笑えない?」
と問い掛けているような雰囲気が漂っており、あまり深刻にならず、リラックスした状態で観賞する事が出来ました。
「悪人だけど、どこか憎めない」というタイプの主人公達だったのですが、やっている事は凶悪極まりない為、最後まで感情移入は出来ず。
書類にサインさせる為に、被害者を拷問している場面もキツかったのですが、個人的に一番落胆させられたのは、終盤の貸金庫の件。
その中身が、思い出の写真、そして子供時代の靴の型である事に怒って「金は無いのか」と怒り出す主人公の姿は、本当に見苦しいの一言でしたね。
ここで決定的に愛想が尽きたところで、映画が終局を迎える構成となっているのは上手かったです。
また、被害者の豊胸パックを取り出さなかったばかりに、それが決定的な証拠となってしまう辺りにも「そこかよ!」と思わずツッコミ。
指紋については気を遣っていただけに、その間抜けな見落としには、乾いた笑いを感じられましたね。
主人公達が筋トレに病的に固執している点や、理想的なボディと現実の経済事情とのギャップに耐え切れず犯行に至ったと思しき点など、色々と分析してみるのも楽しそう。
けれど、それよりは、もっと肩の力を抜いて、実話である事も意図的に忘れてみせて、のんびりと観賞するのが最適な映画であるように思えました。