1.不器用にも直向に生きている連中なのだが、ちょっとした歯車で彼らの純粋さが屈折し、妄執へと変わる。少年しかり、マーティンしかりである。しかし、妄執を内に留めておくか否かで彼らの運命は変わる。やはり人間は、妄執を心から解き放った時、悲劇が生まれるのだろう。少年の純粋さを清涼剤に、どろどろした人間関係を描くというバランス感はなかなか素晴らしい。ただ、伝えたい事が遠回しでいまいちテーマが見えてこない。まさか、単純な悪女物語でもあるまいし。含蓄はありそうなのだが、もう少しテーマをダイレクトに示して欲しかった。いい雰囲気を持ちながら、いまひとつ物足りなさも拭えない残念な作品。