3.《ネタバレ》 “地球外生命体による脅威”という如何にもな『SF』設定を撒き餌に(あるいは迷彩に)、「人間の愚かさ」を描くことを旨とする前作の本質は、続編にあっても健在でした。とりあえず普通のSFモンスターパニック映画になっておらず安心しました笑。舞台設定は前作から10年後。一部隔離地域のみならず、外来種による侵蝕は広範囲に進んだ模様です。なお邦題に「新種」なる単語が採用されていますが、機動性を有する小型生物の登場はあれど(新種というより成長過程での一時的な形態では?)、地球外生命体の特性について新たな条件付則はありません。ただ彼らの生態については、前作と本作を通じてより明確になったと考えます。①とにかくデカイ②胞子で繁殖。繁殖力は絶大。③好光性。④好戦的ではないが戦闘力は高い。⑤人を襲わない=肉食ではない。やっぱり巨大陸クラゲでした。イメージ的には『ナウシカ』の王蟲が近いかもしれません。人類が彼らを駆除しようとするのは、“捕食される”といった直接的な脅威ではなく、“資源を食い尽くされる”“活動範囲を奪われる”といった間接的被害によるものと推測されます。例えるなら、市場独占の殿様商売で胡坐をかいていた大企業に、外資が乗り込んできたみたいな。そんな緊急事態に内輪揉めをしていたら、そりゃ勝てるワケありませんよね。彼らが好戦的でない分、より一層、愚かで哀れな人間の性が浮き彫りになる仕組みです。この先人類が絶滅するかどうかは分かりませんが、少なくとも好き勝手出来る状況は変わるでしょう。王座陥落。まるで一軒家の豪邸からアパート暮らしへ。周りに遠慮しながら生きていくのです。本来、共生とはそういうもの。生活レベルが下がるのは必至ですが、だから不幸かというとどうなんでしょう。家族にも会えず、激務で精神を病み仕事に殺される人生。貧しいながらも自然と共に穏やかな生活を営む人々。経済至上主義に対するアンチテーゼが見て取れます。とはいえ、そんな身も蓋もない事実、経済で繁栄している国民にしたら受け入れられないですけど。疲れている時に観たらきっと、ヤバイですよ。