1.《ネタバレ》 2人の本性が露見した翌朝の時点、主人公はまだ日常に戻れると勘違いしてしまいました。何事もなかったことにして、元の生活に戻れると。家族、仕事、地位、財産。守るものが多いが故に、判断を狂わされたと言えます。もしすぐに警察に通報していれば、もし妻に白状していれば、もし逃げずに戦っていれば……。全ての“もしも”が虚しく思える結末は、決して最悪ではありません。一度は覚悟した“死”だけは免れたのですから。さてここで問題。2人が去った後、彼がとるべき最善手は何でしょうか。答えは当然、即警察に通報です。彼女らのやり口が稚拙であったため、バイヤー殺害の冤罪を彼が被ることは無さそうですが、それでも下手に取り繕おうとしたら逆効果。スマホに手が届いたのなら、通報が出来たはずですが?…彼は家族が帰ってくるまでの間に、何をした(そして何をしなかった)のでしょうか。大変興味深いです。プロに本気で仕掛けられたハニートラップから逃れるのは至難の業。オレオレ詐欺の比ではありません。もし同じシチュエーションで泉里香と中村静香が訪ねてきたら、招き入れない自信はありません(キリッ)。