1.《ネタバレ》 『すずめの戸締り』がハコいっぱい占拠しちゃってるものだから『ワカンダ』はアタシの生活時間に合うIMAX上映が全く無くてドルビーシネマで見たけどサイズ感不足だわ。
ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンさんが亡くなられたのでこの映画はチャドウィックさん追悼のカタチになっているのね。他の人が演じるのではなく、映画の中でも亡くなった設定になって現実と創作とをリンクさせる感じで。
その哀惜の念は見事に表現されていたと思うわ。ただ、もうチャドウィックさんを見送る会みたいな、厳かな鑑賞姿勢を観客に求めているような映画でヒーロー映画としての面白味はスポイルされまくり、どっかで見たような要素ばかりで組み立てられていて、そんな状態をチャドウィックさんは望んだかしらねぇ?って思っちゃった。
本筋は海の中からやってくる相手との戦いの物語なのだけど当然『アクアマン』感が出ちゃってるのよね。で、『バトルシップ』感も少々、その上『グレートウォール』と『G.I.ジョー/バック2リベンジ』なんかも匂って、だけどそれらお莫迦映画のノリを出していいハナシじゃないのでどうにも楽しくないの。「楽しんじゃったら不謹慎」くらいな空気なの。笑える要素皆無ってワケではないけれど。王女とオコエと手作りアイアンマン少女のやりとりなんかね。だけどどうにも重さが冴えなさへと置換されてっちゃってる感じがしちゃうのよね。
それに『ベイマックス』みたいな王女の復讐心に対する葛藤と選択、勿論あれは正しいのでしょうけれどこれからのマーベル映画の姿勢そのものに縛りを与えちゃわないかしらねぇ。娯楽と政治的配慮(ポリティカル・コレクトネスね)との間でどんどんつまらないモノになってしまったら、それはそれで困っちゃうわね。
マーベルファンにとってこれはとても大切な作品だと思うのだけど、アタシみたいにマーベル追い切れません、ってハンパに浅い人も多いと思うのよね(映画は押さえてるけどドラマの方はせっかくディズニー+加入したけどどれもあまり楽しめなくて途中でリタイアする作品続出)。あまり観客層を狭めてしまうような映画作りは避けた方がいいんじゃないかしらねぇ。