2.愛とは厄介なもので、生涯に一度という愛を感じた男がホモだった、っていう話。次から次と男を替えても、リットンには抱かれない。だって「女のからだはムカつく」なんて言ってるんだもん。おそらく本作唯一のドキドキする場面は、夜の庭にキャリントンが座り、窓辺の“浮気”を眺める場。横移動にマイケル・ナイマンの音楽がかぶさって、ちょっとグリーナウェイ的な気分で、ヒロインの孤絶が描かれる。夫や恋人たちも、けっきょくはこちらが真に愛していないせいか、それぞれ恋人を作っていく。真に愛しているリットンは美青年といちゃいちゃしてる。画家のヒロインは外からそれを見るだけなのだ。シューベルトの遺作の弦楽五重奏曲も使われたっけ。映画に出てくる芸術家たちの集まりってのはどうしてああ嫌らしいのだろう。でもそれがこの1915~30年頃の気分をよく表わしているようでもある。