2.《ネタバレ》 時間も手ごろ、テンポもよし、だけどなんか稀薄な感じが全編にあるんだな。映画としてドキリとする瞬間を待ち続けて、ついに訪れなかった、というか。日本美にばかり寄りかからない姿勢はよく、出だしもスマート。料理もイキている。つやつや輝いているカユと、冷たくなっているカユの質感の違い。別に女性監督だからということでなく、感性の問題だろう。“道具”がなおざりにされてなかったのもいい。絵の道具、料理の器具など。青い世界と赤い世界の対比があり、赤は愛の色。蔵の中はもう少し暗いほうがいいんじゃないかと思ったが、あとで翳った場面との対比を見せたかったのだろう。男の「人でなしの恋」が、ラストで女によって反復される。