6.原作は貧困ファンタジー漫画。実写になればこのようにいろいろと差異を取り沙汰されてもしかたないでしょうね。私は原作とは完全に切り離して鑑賞しましたので、逆に原作の雰囲気を実写にしては十分に出せているという印象でした。特にキャラクターの出し方描き方が上手であの原作からよくエピソードを抽出し、また演出したものだと感心しました。描写のリアリティについてはもとがダークファンタジーだと捉えているので気にはならず、この現実との微妙な乖離性こそを楽しいんでほしい作品です。どですかでんにはちょっと及びませんが6点献上。 【病気の犬】さん [映画館(邦画)] 6点(2016-06-29 15:50:57) |
5.原作とは別個もん。なにもサイバラワールドを作らなきゃならないってこともないし、原作が伝えたかったことを映画でも伝えなきゃならんってこともない。設定だけを借りてきた別個もんと割り切らなきゃ。映画『ぼくんち』はどこまでもマンガチックな世界と人物で作られる。どんなに深刻な展開に行こうともシリアスさを回避する。むしろ弱者で笑いをとる。漫画では許せることも実写では許せないということがある。だからよりマンガチックな世界と人物を持ってきて、さらにコメディ色を前面に出してとにかく笑いに転化することに漫画以上に苦心する。でもそれだけならば映画作品として面白くならないだろう。そこに阪本順治の常にリアルで生々しい世界が画面に同居するから面白くなる。と同時に原作から解き放たれる。カメラも落ち着いている。海の見せ方もいい感じだ。そこに鳳蘭と観月ありさという貧乏が似合わない日本人離れした長い手足を持つ親子が立つ。なかなかいい画だ。ちぐはぐさも込みで。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-08-04 16:13:47) |
4.《ネタバレ》 関西地方と思しきとある島が舞台。漂う空気に覇気はなく、閉塞感に包まれています。物価は高く、治安は悪く、中華料理屋はマズい。島を捨てればいいのにと思う。でも島民はその生活を受け入れています。多分一生島からは出られない。それは此処に根付いてしまっているから。爽やかな高原の風に揺られる花もあれば、真夏の太陽に焼かれながら、道路の端っこにへばりついて生きる草もある。どこに何で生まれるかは運。蒔かれた種は、そこで芽を出すしかありません。運命という言葉は好きじゃないけど、どうしようもない事はある。そういう現実を笑いのエッセンスに変えるしたたかさ。アスファルトを割る雑草のような生命力。それがサイバラ作品の魅力だと思います。痛いけど可笑しいのは、本当の意味で惨めじゃないから。本作がその魅力を十分に引き出しているとは、正直言い難いです。でもだからダメだとは思わない。原作を最高に楽しむ方法は、原作を読むこと以外にありません。映画は映画。割り切って捉えるとそんなに悪くないと感じます。観月は汚れ役をものともせず、岸辺は「上手い」の一言。濱口や今田も良かった。それに「親はなくても子は育つ」というテーマは伝わってきました。島を離れる兄弟。動物の毛に絡み付いて移動する雑草の種のように。あるいはタンポポの綿毛のように。此処ではない何処かに行き着いて根を下ろし、いずれ花を咲かせて欲しいと願います。愛情を注がれて世話をされた子供は幸せだという。では一太や二太、ネコ婆の子供たちは幸せではないのか。彼らを憐れむほど、自分は厚顔ではありません。むしろ「生きとったらええねん!」と言い切れる強さに憧れます。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-10-19 18:18:29) |
3.私もそこそこ楽しめました。とにかくこの島が良く判らん。どういう地理的条件になってるんだろ? 中華料理屋が一軒しかないほど寂れてるのに、繁華街やピンサロは完備。その上、ヤクザもいればシンナー販売も成り立ってるらしい。学校は無く、子供が「誰も知らない」状態でも生活に支障は無さそう。こりゃ独立国ですヨ。完全にこの不条理感にやられました。例によって原作を知らなかったことと、単に阪本順治と相性が良いだけかもしれませんが…。それにしても、観月ありさが徐々にブルック・シールズになってってる様に見えるのは気の所為でしょうか…、6点献上。※注【ブルック・シールズになる】:超美少女としてデヴューしつつ、成長と共にがっしりとした体格を獲得、一定の年齢を越すと横方向に成長を開始すること。 【sayzin】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-07-01 00:09:00) |
2.原作は読んでいないので映画だけの感想ですが、やっぱり間が悪い。観月ありさの啖呵を切ったセリフの後、あの意味なく長い間はなんでしょうか?あれじゃ、はいみなさーん、あの観月ありさがこんなすごいセリフを口にしましたよーって押し付けられている感じがしました。全てのシーンがゆっくりとしていて、離れ島の生活観が出ていてそれはそれで好きだけど、あの啖呵のシーンはサク!っと観たかったです。100%犯罪としか思えない長男の稼ぎ方や、次男が木の上で女の子の名前をあまりにも連呼しすぎて引いてしまいました。でも、子供達の会話や島民との関係は好きです。エンディングの曲のような映画だったらもっと好みだったかも。 【tomomi】さん 6点(2004-01-20 12:00:15) |
1.二十一世紀という現代をまったく感じさせない、それは子供が子供らしくあった、いかにも昭和三十年代のレトロ感覚を意識したような作品世界。本作の舞台であるうらぶれた島の人々は極貧に喘ぎ、日々生きていくことに精一杯で、願わくは島を離れての自立を目指している。しかしここに登場する大人たちは勿論、子供たちもマトモには描かれてはいない。その風変わりさが原作の持ち味という事なのだろうが、その点を阪本順治監督は十分にこなし切れていないように思う。とくに主役の子供たちと観月ありさとの絡みの演技に微妙なズレがあり、重要なシーンにもかかわらず間延びした印象を受けてしまう。これは監督の意図的な演出なのかも知れないが、だとしたら狙いは何なのか、聞いてみたいところ。歯切れのいい面白いシーンも少なくないが、全体的に見るとなんともテンポの悪い作品だと言える。 【ドラえもん】さん 6点(2003-08-03 15:17:31) |