3.《ネタバレ》 底抜け超大作ホラーが目白押しだった70年代、その掉尾を飾ったのがこの自主製作カルト・ホラー。監督のドン・コスカレリはこのときまだ22歳、本作を観た限りで言えることは、彼こそはまさに“才能はかなり劣るけど、頭の中はデヴィッド・リンチそのもの”と呼ぶに相応しい人、というか“ドン・コスカレリを天才にしたらデヴィッド・リンチになる”と言った方が正しいかも。ストーリーは冒頭から徹頭徹尾おかしいし、途中からソフトボール大のパチンコ玉が高速で飛んできて人を殺すしで、もう浅草花やしきのお化け屋敷状態です。挙句の果てには夢落ちですけど、これほど夢落ちが納得できた映画には初めて出会った気がします。どおりで13歳のガキがバイクやムスタングを運転できるわけだ。でもデヴィッド・リンチが割と好きな自分としては結構愉しめたかと思います。『エルム街の悪夢』の原点と言えるかもしれません。よく考えるとこの映画にはヒロインがいないんです、そんなホラー映画もちょっと珍しいかも。そのうえ主人公の少年が女の子かと思うほどの美少年、その兄と兄の親友の三人の関係がなんかヘンでBLっぽい雰囲気もあり腐女子には受けるかもしれません。