1. 移民先からパンクと女権論にかぶれて戻った娘と幼ななじみの村長が再会する。村長は若くても権力と体面がある。その体面を潰されて二人はけんかし、女は都会に出て行く。仲直りに来た男が田舎者丸出しで、今度は女の方が恥かしくて、けんかが継続する。悔しさから村産品の都会進出を計りシティーボーイの修行をする男と、ワークウーマンを目指す女。物語は農村と都会、男と女などを滑稽に対比させ、日本的な営業マン訓練(80年代に流行った。懐かしいな。)も揶揄しながら、ラストは春節の村へと戻っていく。
チョウ・ユンファとドウドウ・チェンが共演した映画の最終作だが、誰かが書いていたように、これで完結したから、その後は必要ないのだ。「一代經典的螢幕情侶」と称されたTV時代から、二人が演ずる恋人は絶えず口げんかをする。このけんかの息が合っていて、見ていて楽しい。ドウドウ・チェンは言い争ったら絶対引かない役がよく似合う。しかし、気圧されながら聞いていたユンファが反撃に出ると、結局ドウドウは言いくるめられてしまうことが多い。ドウドウが体現しているのは、強がりつつ男に守られたい女の弱さで、ユンファのは、負けつつも勝つ男の懐の深さ?だろうか。こういう女の甘えは21世紀には流行らなくなったな。
見所は、最後の「崖から落ちて樹に引っかかった車内の二人のやりとり」だと思う。特にドウドウが「死ぬまでに直したかった自分の欠点が思い出せない」と言って大声で泣き出すシーン。すかさずユンファが、何のとまどいもためらいもなく、女の欠点を数え上げる。ひとつ上がる度に「それじゃない!」と泣いていた女が、最後には「そんなにあるの!」と言って泣く。男の冷静な観察力と、それだけの欠点を把握しながらも愛してきたことが伝わり、同時に、それに何の不安もなく女がのっかていることも伝わり、二人の重ねてきた年月が伝わるのだった。