4.《ネタバレ》 公開当時は見ていないが、怪獣の姿には幼少時から書籍類で親しんできていた。「トカゲの怪獣」といえば身も蓋もないが、まあスタンダードな四足怪獣である。実際見ると跳躍したりして敏捷なところもあるのは意外で、また雨に降られて寝込んでしまった姿には愛嬌も感じられた。存在自体は迷惑でも本質的に邪悪な生き物というまでのことはなく、ただ無心に生きようとしていただけだったのに、最後は人間にもガメラにも目の敵にされて死んだようなのは少し哀れだった。
それで映画の内容としては、突っ込み所は多数あるが全体としては真っ当な娯楽映画である。子どもには怪獣を見せておいて、大人向けにはドラマ部分という形で、はっきり切り分けたようにも取れる(それにしては怪獣が出るのが遅いが)。
まず怪獣モノとしては、映像面の出来はいいと感じる。大阪城の場面などは横長のスクリーンをフルに使ってスケール感を出していたのが印象的で、怪獣の吐く息が見えていたり、前作に続いて建物内を走る人がいたりするのは芸が細かい。また人間側の対策としては、最初の遠距離攻撃には失敗したものの、琵琶湖まで誘い出して重傷を負わせたのはかなりの健闘であり、ガメラはその成果を引き継ぐ形になっていた。都合のいい展開ではあるが、無駄なことをやっている感じはしない。
一方ドラマ部分についても、困ったものだと思うのはニューギニア住民の描写くらいで(それも怪獣映画としては普通)、言葉づかいに気をつけろと言いたくなる場面も多いが、まあ気楽に見ていられる。悪役は徹底的に悪人で(主人公の義姉が哀れ)子どもの入り込む余地は全くないが、ダイヤを見た婦人自衛官?の反応と、博士の助手の扱いは可笑しかった。
以上、大人の目で見ればそれなりの娯楽映画だとは思うが、ガメラの位置づけが半端なためか、どうも愛着がわいて来ない。映画としてはガメラの方に肩入れしている雰囲気はあるものの、依然として世界中で大暴れしているのでは応援するにも気が引ける。このままでは以前のゴジラと同じであり、次回からはっきり子どもの味方という設定を取り入れたのは、個人的には理解できる。
なおヒロイン役の女優は、申し訳ないが個人的趣味の範囲から外れるため評価できない。キャストでも何でも、これは無条件で好きだ、と思えるものが一つでもあればよかったと思うが(無理に挙げれば怖がりやの村娘)。