1.マッドサイエンティストもの。実験台として誘拐してきた人間を実験で“植物人間”にしちゃう。冒頭から、高速再生フィルムによって植物がニョキニョキ成長する様を見せてくれたり、食虫植物の捕食シーンを見せてくれたり、いやいや、この映画、マッドサイエンスどころか普通にサイエンスしてますよ、なかなかに興味深い。でも、食虫植物って、植物なのに「捕食する」というその動物っぽさが、得体が知れなくて不気味な点なんだけど、ソレを人間と合成してもなあ。むしろ親近感が沸いたりして。やっぱり実在の食虫植物の方が、何とも知れず不気味なんです。で、しかも、この“植物人間”を巡るストーリー、サスペンスが、あまり面白くない。むしろこの映画で目を惹く点、そしてこの映画をカルト化しているのは、実際の障がい者が出演している見世物小屋のシーンの方、ですね。ビックリ人間大集合。見世物小屋のおどろおどろしさ、眉をひそめる見物客。実に正直な描写だと思います。足に畸形のある障がい者が、「僕は特に芸はできません。でも、この足は、動きます」と動かして見せる場面など、こんなセリフは脚本家の想像だけじゃ書けないですよね。で、そんな彼らにも当然、日常がある(日常があるどころか、彼らにはその人生しか、無い)。公演後、客のいない舞台で、ささやかなパーティをやってるシーンなど、実に印象的です(そしてそれがぶち壊しにされてしまうくだり!)。と言う訳で、この作品、イイ映画だ思いますよ。何と言っても多面性がある。ただ、肝心のメインの軸(要するにサスペンスの部分ですな)が、さすがにもうちょっと、何とかならんかったのか…。