2.《ネタバレ》 ある悲惨な事件の顛末と人々の姿を、短尺の中に見事に纏め上げた、ホントに素晴らしい構成力の映画、だと思います。しかしそう思う一方で------中勘助の「犬」を読んだ時の感想に近いのですが------“こんな重いテーマを、そんな終わらせ方で、納得できるかよ~”という気持ちになるのもまた事実。いや、「犬」よりもずっと強い違和感があるのは、この作品の、ギリシャ悲劇のごとき形式性。登場人物が類型的で、取り上げられる事件も極端で、そのあげくにこのオチじゃあ、悪い意味で「絶妙過ぎ」。構成力うんぬん以前に、方程式のごとき骨組みが透けて見えて、どうしても気になっちゃう。最後の“泉”ってのは、何のメタファーなんですかね、目から鱗のウマイ解釈を誰か教えてくれたら、私もこの映画に惚れこんじゃうかもしれませんが。私の感想は、「要するに、このどーしようもない事件に対して、カミサマは泣いておられるっちゅうことね」。はい、ご愁傷様。