1.《ネタバレ》 観ている最中、どうも分かりづらかったのですが、元々は前後篇に分かれた作品だったのですね。
戦前の作品なので、全長版は消失してしまっているのですかね?
個人的に苦手な高峰三枝子と佐分利信が主演という時点で、既に私にとっては致命的なんですが、それでも名作と言われるだけあって、随所に印象的なシーンがありました。
高峰三枝子と水戸光子と佐分利信の三角関係。
二人の女性は佐分利信を実は好きなのだが、女性二人で話し合っても、言葉では本心を明かさない。
その二人の女性の微妙なやりとり、その心理描写がとても巧かったですね。
それと、高峰三枝子にフラれたばかりの佐分利信が、水戸光子と結婚を決めるシーン。
高峰三枝子にフラれた直後に、水戸光子から言い寄られ、あっさり結婚を了承してしまう佐分利信。
これはある意味、男として情けないが、水戸光子の自分を一途に思ってくれるその気持ちに心打たれたからこそ、結婚を了承した。
この辺りの演出もとても見事で、水戸光子がいかに佐分利信に惚れているかが、絶妙に演出されていました。
なにぶん戦前の作品なので、古さ臭さは否めませんでしたが、名シーン・名ゼリフも多く、1930年代の作品としてはかなり楽しめた部類に入りました。