9.《ネタバレ》 名作と名高い本作でしたが横目で受け流すこと数十年、今回仕事がひと段落して気持ちに余裕があったのでついに鑑賞しました。227分のレストア版でしたが、オリジナルが1962年であることを考えると今回見た227分(レストア版)は恐ろしいほどに綺麗な画質でした。映画館には劣りますが自宅100インチオーバーのスクリーンで鑑賞しましたので、壮大な雰囲気は十分に味わえたと思います。
アラブ系・中東系の話なので時代背景に明るくないと非常に難しい映画です。私は一応簡単に時代背景を勉強してから鑑賞しましたが、それでもよく判らないまま流れに任せた感があります。一番の問題はロレンス=エル・オレンス(ピーター・オトゥール)の演技がミュージカル風味なので違和感を感じた点です。1962年という時代背景のせいかと思いましたが他の演者はそうでもないので、変人といわれていた本人に寄せたのかもしれません。この点は激しく違和感を感じました。また、インターミッション後の後半の彼の人格がおかしくて感情移入しにくくなっています。元々起伏の激しい人物だったのか、それともついには心を病んでしまっていたのか判りませんが、、とにかく神経衰弱のように見えるのです。
ただし、エル・オレンスの置かれていた立場と戦闘の大きさを考えると致し方ないような気もします。しかしながら元々は自分から進んで事を初めている訳ですので、同情の余地はないでしょう。今も混沌としている中東系ですので、この当時はもっともっと過酷であったと思わまれます。そういった観点から考えるとイマイチそういった過酷な部分までは映画化できていないなぁとも感じます。名作に敬意を表して、また雄大な映像に敬意を表して点数は少し甘めです。