22.《ネタバレ》 『ゴッドファーザー』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のようなものを期待していたが、そういうのとはちょっと違っていた。
実話物のためか、ドラマ性はそれほど高くはなく、ドライで淡々とした印象。
平気で仲間を裏切り、堅気にも手を掛けるのも躊躇しない。
仲間との友情や義理人情、堅気には迷惑を掛けない任侠なんてのは、本当はこういう世界には存在しない、美化された嘘っぱちなのだろう。
下手にそういう甘さを持っていると、足元を救われて命を落とすだけというシビアな世界。
そんな世界で生きる三人のギャングを、デニーロ、ペシ、リオッタが熱演。
ギャング連中のクズっぷりがエグくて、ジミー、ヘンリーもそうだけど、トミーが最も印象的。
狂犬のようで手に負えない。
トミーの気まぐれで足を撃たれたバーテンダーは災難だった。
ケガをさせた謝罪もない上に嘲笑したトミーに、思わず一言返しただけで無残に射殺される。
こんな理不尽な死に方はない。
虫けらのように命を奪う者は、虫けらのように殺されても仕方ない。
トミーは殺されて当然のクズだった。
が、そういう連中をしっかり取り締まるべき警察や刑務所にも、腐敗した人間がいて連中の便宜を図っているという嘆かわしい構図。
正直者がバカを見て、力を持つ者が好き放題できる、力こそ正義の社会。
リアルなマフィア像が描かれるので、好きになれる人物がいない。
それが上記作品との大きな違い。
皮肉のこもったタイトルに騙されたが、もう一度見たいとは思わない。