3.《ネタバレ》 新薬臨床試験にまつわる都市伝説をネタにして、ちょっとドキュメンタリー風に撮ってみました、というのは分かるけど、「新薬の副作用の恐さを元にしたサスペンス部分」と、「それに対する批判や警鐘というドキュメンタリー部分」、さらに「映画監督を目指す若者の挫折という青春ドラマ」の三つの軸がブレていて、全体として見ると何がメインテーマなのかはっきりしない内容。
特にラストの爽やかな終わり方なんて、完全に青春ドラマで、それまでのサスペンス部分とのギャップがあり過ぎる。また、病院を抜け出してバカ騒ぎしたり、居酒屋のオヤジに追いかけられるシーンなんかはコメディっぽいし、見ている間中、「いったい何が見せたいの?」という違和感が終始付きまとった。
ただ、こういう「治験のアルバイト」と言うシチュエーションは非常にリアルで、自分も一緒にアルバイトとして、その場にいるような臨場感があり、ダラダラとしている展開の割には、それほど飽きずに最後まで見られたのも確か。ちょっと出演者同士の掛け合いがサムいのと、前述の通り、テーマが分りにくいのが残念。
カメラワークや手ブレについての批判は的ハズレ。「素人が隠し撮りしている」というシチュエーションこそが肝であって、「ブレアウイッチ」同様、その場の臨場感を出すための演出。これをきちんと撮っていたら逆に不自然。