2.大杉漣が古い家屋を屋根づたいに逃げる逃げる。
これは痛快だった。
歌舞伎町の周囲には、ああいった古い家屋が残っており、それらを上手に活かした逃走劇。
大杉漣が体を張って、逃げ回る。
ありそうでいて、ちょっとない危険きわまりないアクション。
しかもヤケクソに逃げる。
謝りながら逃げるかと思いきや、ふり返って物を投げる。
コミカルでいてスピーディなアクション、そして歌舞伎町界隈の汚らしい家屋を上手に活かしたロケーション。
なかなか良いのでは?
だけど、それ意外はどうも物足りない。
『月はどっちに出ている』で素晴らしい演技をみせた岸谷五朗も、本作ではどうも空回りしていた。
その他のヤクザ陣も、いいキャストを揃えてはいるのだが、迫力と雰囲気づくりに物足りなさが残る。
監督である崔洋一が傑作『月はどっちに出ている』で見事に演出したあの作品の魅力はどこに・・・
理由は定かでないが、本作ではその魅力を感じ取ることができなかった。
それが何とも残念である。