1.めずらしく(?)狂乱しない美しきイザベル・アジャーニがただ息をするかのように人を殺してゆく。そこに狂気は見えない。狂気を見せるのはむしろアジャーニを追う探偵。ところどころちぐはぐとした物語はもしかしたら探偵の妄想・・。そうであるかのようにどこか悪夢めいている。その悪夢の住人としてあまりにはまるアジャーニ。あまりにきまるコスプレ。美しさがはかなさを助長する。切なさを増幅させる。ああ、再見したいがどこにも置いてない(涙)。ちなみに盲目の建築家だったか、彼に話した女の過去に登場する父親はムルナウ『最後の人』そのまんまだ。(『最後の人』のハッピーエンドは後から付け足されたもの)