1.主演はアーノルド・ストロングという、聞いたことはないけど見たことがあるムキムキ男。彼の演じるヘラクレスが、神話世界からニューヨークにやってきて騒動を巻き起こす。というオハナシですが、登場する「神々の国」ってのが、背景の木の葉も緑も何だか薄汚く、手入れも行き届いていない感じ、やたら貧相。
それどころか、近くに車道があるらしく、クルマの走る音やら、クラクションの音やら、一体どれだけ近所でロケしてるんだよ、と。
その後も、微笑ましくもクダラないエピソードの数々が、キレの悪いションベンのように続くのですが(ギャングみたいな連中が追いかけてくるシーンで一人コケた奴がいるにもかかわらずそのまま撮り直さないなど、撮影の手抜きも続くのですが)、しかし、考えようによってはコレ、後のシュワ自身の『ツインズ』の先駆けのようでもあり、また『星の王子ニューヨークへ行く』の元ネタのようにも思えてきて。
さらにはヘラクレスが街なかを馬車で疾走するシーンなどは、荒唐無稽さと無許可撮影っぽさが相俟って、ファンタジーへと昇華されており、これを表現するにはなんと言ったらいいのか、私の頭には「トロマ的」という言葉しか思い浮かびません。
最後のは褒め言葉になってないですね。でも、ちょっと時代を先取りしています。
とにかく、制作費はないけど夢がある、そして最後はちょっとしんみりもさせられて。陽気な音楽が、さらにその感情を揺さぶります。
いや、イイ作品だと思いますよ、コレ。暖かい気持ち(と少しの忍耐)で見守りたくなる映画です。
もしこの作品がそこそこヒットしてシリーズ化されちゃったりなんかしたら、ヘラクレスは回を追うごとに活躍の場をひろげ、4,5作目あたりではついに、知事になっちゃったりなんかして。
その場合、シュワが実際に大スターになって、さらに知事にまでなることは、なかったでしょうけど。