6.何かと芳しからぬ評価が聞こえる本作ですが私は劇場で見る価値のある力作だと思いました。
4万対25万のガウガメラの戦いやインドでの像軍団との戦いは迫力があるし、
バビロンの空中庭園などのセットの壮大さや雄大な砂漠や山岳地帯のロケーションなども見物だと思いますが、字幕を見てるとじっくり味わう余裕もないのが残念です。
今のギリシャからインドまで遠征するなんて気が遠くなるような話ですが、何しろ2300年以上前のことですから判らないことも多いわけですがそこに謎やロマンもある、ということで主に偉大な大王の内面的な部分の解明に焦点をあてて描かれます。このあたりが娯楽的には真面目すぎるかもしれませんが、ドラマとして見るとなかなか面白いと思います。
幼い頃の父母との関係、特に母親から受ける呪縛は彼の行動に大きな影響を及ぼします。
見る前は違和感があったコリンの金髪大王も、少年アレキサンダーとよく似てたのですんなり見られました。
この少年も暴れる裸馬を乗りこなすシーンなど上手で良かったですが、コリンは夢と野望に突き進む強さの反面、人間的な弱さや孤独を見せるというアレキサンダーを見事に演じたと思います。蛇を持つ妖しい母のアンジーも良くて、特にスモーキーな眼色を生かしてその強さや妖しさを出したのが印象的でした。見ごたえは十分あるものの印象としては今ひとつ心に響いてこない
という感もあるのですが、それでもトロイなどと比べてもしっかりした作りに好感が持てます。