2.原題は「ラプソディインブルー」。
ジョージ・ガーシュウィンの言わずと知れた代表曲。
大胆にジャズのイディオムを取り入れたセミクラシック楽曲で今もよく聞かれます。
「のだめカンタービレ」でもサブテーマ曲として使われていましたね。
僕が最初に聞いたバージョンは グレン・ミラーによるスイングアレンジでしたが、これもとても楽しい名曲です。
このアレンジでは原曲の冒頭大胆なクラリネットのグリッサンドがないのがやや寂しいですが。
とはいえこの原曲のオーケストラアレンジはガーシュウィン自身がしたものではないようです。
作曲は巧みでも編曲がやや苦手だったらしく彼のほとんどのオーケストラ曲はグローフェ他の人の手を借りたものだと言います。
その意味ではこの「アメリカ『交響楽』」 というタイトルはいささか的が外れていると言えるかも。
『交響曲』じゃないだけましかな。
物語中で交流があることが描かれているモーリス・ラベルは「オーケストラの魔術師」と呼ばれるほどの人だったのに、ガーシュウィンにオーケストレーションを教えてあげなかったのかな。
食えないじいさんだよね。
まあどちらも多忙な人だったということがあるのでしょう。
ガーシュウィンが亡くなって数年後に作られた映画ということで、生前に交流のあった当人が何人も出演している映像がとても貴重。
特に「スワニー」を歌ったアル・ジョルスンの映像は顔を黒塗りするという芸の性質上現在のアメリカでは事実上見ることが不可能でしょう。
日本のコンプライアンスは健全なのです。
長い指揮棒を振りまくるキングオブジャズ、ポール・ホワイトマンの映像も見られます。これはジャズとクラシックの融合が世に現れた 貴重な瞬間の再現なのです。
ショービジネスの分野から多彩な人材がクラシック音楽の変革を目指していく。
こんな時代がかつてあった。
それを教えてくれる映画です。
現在のクラシック音楽の世界というのがやや硬直し面白くないものに見えるのは何でですかね。