1.《ネタバレ》 ヒットラーといえば、歴史の汚点、悪の代名詞のような描かれ方を
どの映画でもしていますよね。
もし本作品を見て、悪役=ヒットラーでもないかもしれないなどと、
洗脳され感化されたら今までの歴史&戦争映画は意味がなく、
2枚組みということもあり躊躇していました。
ヒットラーのユダヤ人嫌いがどこから発祥したのかがよくわかり、
その性格さえもこの作品を見ればなるほどなとうなづけます(本人でないのにわかるのか?)
面白いのは生まれてから改革に燃えるまでの1巻目なのですが、
私的には2巻目のほうがより現実的で狂気に満ちて面白かった。
まるで、「ゴッドファーザー」の殺戮のようで、これは妙な気になりました。
その殺戮のリズムにテレビ映画ということも忘れ見入ってしまった。
が・・エンディングでその後のみんなが知っている歴史が語られると、
ヒットラー=悪という気持ちに穏やかに変わってゆくのです。
自分でもこういう洗脳映画は怖いなぁとおもいました。
本当にこのエンディングがなかったらと・・
オトゥールさんは、ヒンデンブルグ役ですが、これもしかしたら
ヒットラーが大統領を殺したんじゃないのと疑うほど、ことがうまく進んでゆくのが怖い。
ストリーテラー役の新聞記者がまたいいんです。
「メンフィスベル」に出ていた、マシュー・モディン。
この人の最後も残酷でした・・
結局ヒットラーは、自分にはむかう者、そしてユダヤ人は惨殺してゆきます。
この世に悪の世界を作るなら、まず善良なものを殺せばいい・・
こんな風な言葉がエンディングで流れます。
悪の冷酷で切れのある優美な匂いと、善が壊される恐怖とはかなさ。
でもこれ、現実なんですから、それもなん100年も前のことじゃなくて。
この作品を見た後に、「シンドラーのリスト」を見たら、精神はまともになるでしょうが・・
かといって(この世で一番かしこくて偉いのはユダヤ人)というのもないでしょう。
みんなどんな人種も平等なはずだから・・
不平等に扱ったヒットラーがドイツ人だからといって、
ドイツ人は悪いというのもまた、ヒットラーと同じ狭い人間になるのです。