2.《ネタバレ》 父ヴォルフが作曲したという曲も、汽車が急停止する場面の前後などで流れている曲も、また、日本では「ほたるの光」として知られるスコットランド民謡も素晴らしい。音楽がこの映画の美しく魅力あるものにしている。
やはりこの映画で一番の感動の場面は、母ザビーネが「ルイーゼ」がチャーリーであることに気づく場面。チャーリーは英語休暇キャンプから帰ってきたときにすでに母と再会を果たしているのだが、しかし、この瞬間になってはじめて、母は自分のもう1人の娘である、チャーリーことシャルロッテに10年ぶりに、本当に出会うのである。第2の出会いとも言える。きっかけはルイーゼが送ってきた曲である。
厳密には、ここには2重の認識が起きている。1つは、スコットランドでの英語キャンプで娘ルイーゼが知り合った友人が偶然にもシャルロッテであったということ、もう1つは、それだけでは済まずに、シャルロッテと出会ったルイーゼではなく、シャルロッテが代わりに自分の元に「帰って」来ているということである。あとのほうの認識には、なぜ、英語キャンプから帰ってきた「ルイーゼ」がこんなにも変わってしまったのかという疑問の氷解が結びついている。