1.《ネタバレ》 良心的外国人監督による所謂「禅的」自然観への憧憬をもとにした親日的作品、と書くと現代日本の描写とその現実のあり方とに異様なギャップが生まれるのが関の山だったが、本作では見ていてそこまでの違和感は無い(それでも吉行和子は滝前に座禅するが)。と言うのは、主人公の叔父であり師となる藤竜也の演じる造形そのものが、現代的・文明的な生活(車・展覧会・バー・ロック)の中にいつつも、最も古典的な窯業の様式を守る古代的・自然的な生き方(窯焚・セックス・太鼓・狸)をバランスさせる事を主題としているからだろう。そして、その叔父の奔放な生き方こそが主人公を再び「生」に向かわせるのだが、このある意味分かりやすい筋書きとは別に、案外風景の撮り方がうまいのである。冒頭の森のシーンなどは『殯の森』を想起させた。