1.《ネタバレ》 第二次大戦中には多数の名将が輩出されましたが敵軍からこれだけ賞賛された人物というのは珍しいのではないでしょうか?この映画の原作者である英国人のデズモンド・ヤング准将は実際に北アフリカ戦線でロンメルの捕虜となった体験を持ちますが以降ロンメルに傾倒し伝記まで執筆しました。(それがこの映画の原作となっています。)彼はこの作品でも序盤、ロンメルの捕虜となる英国人将校役で出演していますが遠目に見えるだけのロンメル(=ジェームス・メイソン)に対する彼の敬礼からは、演技を超えたまるで本物のロンメルに対するかのような真剣かつ真摯さが伝わってきます。敵をそれほど心酔させるほどの魅力がロンメルという人物には備わっていたのでしょう。ジェームス・メイソンもそんなロンメルをカリスマ性溢れる演技で演じています。実際にロンメルがヒトラー暗殺に加担したかは謎とされていますがこの作品中では様々な葛藤の後加担する意志を固めます。結果的に暗殺は未遂で終わりロンメルも関与を問われ死を強要されます。国を、家族を守るために戦い続けてきた彼が最後は自分の家族を守るために自ら死を選ばなければならないのはなんという運命の皮肉でしょうか。改めて戦争の矛盾について深く考えさせられます。