1.主人公デュードは過酷な試練に抗って生きているのか、あるいはただ運命に翻弄されて生きているのだろうか?その問いかけには「分からない」としか答えようがないだろう。悲嘆に暮れることはあっても完全に絶望して諦めたりせず、一筋の光明を追い求め転々と移動し続けるが、状況は更に悪くなるばかり。幼少期に追っ払うよう言われてた烏にすら餌を与えてしまうその優しさは、長男のうつむき加減な表情及び年甲斐も無く周囲に遠慮しがちな態度に継承されているが、それゆえに最悪の悲劇をもたらしてしまう。マイケル・ウインターボトムってシリアスな映画ばかり撮ってるけど、本作はそのなかでもとりわけ痛い。影像及びマイケル・ナイマンによる音楽の尋常じゃない美しさも痛ましさを増加させているので、ケイト・ウインスレットのヌードにもあまり興奮できません。