11.《ネタバレ》 あさま山荘事件をそれ単体で突出させるのではなくて、その前にあった大量リンチ事件、さらにその前にあった60年代闘争と、きちんと順を追って進んでいるのが、作品に意義を与えている。また、中身の空虚さを押し隠そうとする森の空威張り的な独裁、永田のじとっと光るような眼と粘着質な追い込み、坂口の妙に落ち着いたふてぶてしい態度と、中心人物の特性を端的に押さえているのも、作品を引き締めている。ちょっと残念だったのは、リンチ被害者の扱いが途中から露骨にぞんざいになっていることと、終盤に至っても登場人物のお肌つるつる、髪つやつやだったこと。メイクでどうにでもできたはず。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-06-04 03:51:53) |
10.思想家気取りのガキ共による、革命ゴッコの果ての幼稚な殺し合い。 それ以上でもそれ以下でも無く、また他に語るべき言葉も無い。 【オルタナ野郎】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-02-13 01:02:53) |
9.「光の雨」と比べるとドキュメンタリー色が強いですね。演出やカメラワークなどいろいろありますが、現代に生きる私たちに強烈なインパクトを与える点を評価したい。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-12 09:54:55) |
8.《ネタバレ》 30数年ほど前の冬の群馬の閉ざされた山岳アジトで何故あのような事が起ったのか分かる由もなかったが、この映画を見てこういう事だったのかと少し理解が出来た。高尚高邁??な理論を掲げて総括を要求すれど、本当のところは「チャラチャラしている」「同志と男女関係を持った」「車の止め方を注意したら言い返してきた」等等のことが気にいらなかっただけで、実態は中学生の低レベルなイジメの世界と大差はなかったと。 山荘銃撃戦の最中に内緒でクッキーを食べた兵士が「クッキーを食べる行為こそ反革命の象徴」と自己批判を迫られるが、「俺たちはやっと本物の敵と戦ってるんだ、クッキーを食うことに革命も反革命もあるか!馬鹿馬鹿しい」と言い返したシーンが至極真っ当に思えた。つまりそのくらい枝葉のどうでもよい事で大勢の同志が殺害されたのである。 この映画は映像の完成度は低いが、誰もが違うと思っている事を口にできない異常な雰囲気の描写には優れたリアリティーがある。色気を狙った脚色を施して目も当てられない作りにしなかった点を評価したい。 【ぱたぱた】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-10-09 09:37:25) |
7.小説を読みどうしても鑑賞したくなった作品で、作品はかなり小説の内容と合致していた為鑑賞していてとても面白い作品でした。ただし、この長編作品に関らず森がどのように逮捕されたのがか描かれたいなかった事が省かれていたのは残念です。鑑賞後、総括とゆうフレーズが耳に残っています。 【SAT】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-03-30 22:13:15) |
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6.3時間は長くなかった。実録と銘打っているように前半部分の文字情報を使用した説明部が多少安っぽいがそれでも、話が山岳ベースに移ってからは画面凝視。世代的に意味不明な点も多いが、それでもいろいろ考えさせられる。多くの人物が当時の最高学府に進んだ者たち、若さと高度な知能の若者が向けるべきエネルギーの対象が革命や改革から権力維持に、国や政府から組織内に変わっていく怖さ、そして本当の権力によりなすすべなく追い込まれてゆく、一人混入していた高校生が現代人の代弁者であったがそれでも声は届かない、大変なものを見せてもらいました。映画的には「光の雨」のほうが完成しているけど、こっちは「実録」と付いているので良しとします。それにしても彼らの最終目標点はどこにあったのだろう、ネットで調べるとするか・・・ 【カーヴ】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-20 11:11:30) |
5.こういう変な奴らがトップに立った団体やら宗教ってのは本当に恐いね。「総括」「自己批判」「異議無し!!」・・・。とりあえず「総括」って言葉使いたくなくなりました。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-05-31 22:28:43) |
4.《ネタバレ》 初めのうちは事柄の絵解きのような画面が延々と続き、それに安っぽい音楽も付いて、こりゃ大変なものを見始めちゃったかな、と心配してたのが、山に入ると引き込まれ、その映画としての「洗練されなさ」が異様な力を持ち、グイグイと終わりまでいってしまった。不思議な映画体験だった。不必要なところで英語のバラードが流れたりして、どうしてそういうことするの、と頭の片一方で怒るんだけど、そういう粗っぽさを全部肯定したい気持ちのほうが先に来る。粛清の嵐のとこが一番のめり込む。彼らは少なくとも唯物論の共産主義を信奉してたはずなのに、その彼らが、かつての精神主義で固まった帝国軍隊のミニチュアに見えてくるあたりの滑稽と戦慄。訓練のとき、バーンと言う発射の声が小さい、と怒鳴る。銃に傷を付けたのが重大な失態になる。“神聖な”党を汚した、と自己批判を迫る。「総括」という輪郭のはっきりしない言葉が、万能の力を得てしまう。かつての「天皇」を「革命」に替えただけの精神構造。これはいったい何なんだろう。日本人固有の体質的傾斜なのか、それとも人間の閉じた集団があるところ、どこにでも起こりうる病いなのか。犠牲者を生み出すことだけで維持される組織。その構造が発生するメカニズムの分析までは映画では出来なかったが、しかしそれを観察する体験だけでも貴重だった。映画『光の雨』では、現代の若者との落差といった話で逃げてしまったところを、今回はじっくり見せてくれた。あさま山荘の中でもまだ、クッキー食べたことで自己批判を迫ったりしてたんだなあ。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-05-17 12:10:01) |
【guijiu】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-04-08 12:22:45) |
2.メッセージ性を前面に押し出した映画は苦手なんだけれども、これは観てよかったと思う。連合赤軍がどうというよりも、その理念が何であれ、権威主義的な組織に身を置くことの恐ろしさを改めて思い知らされた。 【クルシマ】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-06-07 00:39:00) |
1.若松監督は当時の世論がそうであったように革命に全霊をかける青年たちを支持していたらしく、それゆえに青年たちの凶行ばかりがクローズアップされているこの事件の背景をちゃんと知らせたいと思った、というニュアンスの記事を読んだ。だから「あさま山荘事件」よりもそこに行き着くまでを丁寧に描き、その組織自体が生まれるべくして生まれた当時の日本の社会情勢と簡単な時代の流れを当時のフィルムとナレーションを使って説明してゆく。芸術性よりもメッセージ性に重きを置いている映画だと思うのだが、若松監督の映画はどれもそうなのだが、監督の「伝えたいという想い」の力強さがそのまま芸術性を引き出しているように思う。国家権力に立ち向かう若者たちは立ち向かうために組織をつくり、組織の中の権力を手に入れるため、また維持するために凶行に走ってゆく。弱いから徒党を組む。そして弱いから権力を欲す。「人は愚かである」という言葉では片付けられない。生きた時代、生きた場所によって誰もがこの事件の主役になり得、殺す側、殺される側になり得たということがこの映画を見るとよくわかる。長い上映時間中、けして目をそらすことができない。映画が真剣にこちらに語りかけてくるから。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-05-19 16:42:14) |