2.《ネタバレ》 「主人公がスペシャルオリンピックス(知的発達障害の人達が参加するスポーツ大会。日本もよく各地で開催してます)にスポーツ賭博で勝つために障がい者のマネをして出場する」。あらすじだけ聞くと胸くそが悪くないような話ですが、どっこいこれが感動できる上質なコメディとなっています。
まず主人公の設定が上手く、彼に観客が不快感を抱かない作りになっています。主人公のやっていることは最低ですが、彼は最低であると初めから自覚しているし、そもそもそんな行為に及んだきっかけは職場でクビにされそうだった知的障がい者の男を自分で雇ったから。教会に懺悔しに行ってますし大抵の人が彼を好きになるのではないでしょうか。
そんな好意的な主人公の周りで、知的障がい者を食い物にするテレビ局?の奴ら、障がい者に優しいフリをして女の心を掴もうとする男(コイツが本当に最低)、一人前の人間として知的障がい者を扱おうとしない主人公の叔父(コイツも最低。Retardと呼んだりする。許せん)が登場し、世間に蔓延する差別を描写していく。この辺りのセンスは製作のファレリー兄弟の手法に近いですね。
キチンと主人公の成長物語ともなっているのが、基本を押さえた映画という感じで良いです。ギャグも洗練された感じで楽しく笑えるものばかり。これを制作のファレリー兄弟が監督していたら下品なギャグの釣瓶落としになっていたことは間違いないので、やや控えめなコメディ演出の監督にして大正解だったと思います。