2.《ネタバレ》 レンタル店の“ミステリー”にジャンル分けされていた今作。
もちろん、ハリウッドで実際に起こった俳優の自殺事件と、その真相を明らかにしようとするプロセスを描いている以上、そのジャンル分けは間違ってはいないと思う。
ただし、この映画の面白さは、謎が解明される顛末にあるわけではない。
往年のハリウッドのきらびやかさと、その裏に確実に広がっていた「闇」を、綿密なディディールの中で描いたところに、その醍醐味はあると思う。
ヒーロースターの死の謎を、しがない私立探偵が運命的に追い求める。
メイキングの中の言葉の通り、「人の人生を追うことで、自分の人生を見つめ直す」映画であると思う。
華やかな銀幕の世界の裏側に隠された深い闇。
それは必ずしも「犯罪」に直結するものばかりではなく、俳優をはじめとする映画に関わるすべての人間に確実に潜む“心の中の闇”であったのだと思う。
「光」は「闇」があるからこそ初めて成立する。その避けられない現実の皮肉を、ミステリーという娯楽性によって巧みに彩ってみせた作品だと思う。