9.1940年製作。第二次世界大戦のさなかの作品。ヒッチコックのハリウッド製作2作目の作品です。
祖国イギリスも戦争に巻き込まれ、ヒッチコックの政治的な意思表示を非常に強く感じる作品です。
空襲警報が鳴り響く中、主人公の特派員が「アメリカの皆さん!」とラジオ放送で訴えるラストは特にそれを強く感じます。
しかし、主人公の海外特派員の活躍を描くメリハリのきいたテンポのいい展開はさすがヒッチコックです。
暗殺者を追う主人公を遮る群衆の傘が印象的な序盤から、風車小屋でのスリリングな中盤、
ホテルからの脱出の際の殺し屋との攻防におけるユーモアの挿入、そしてロマンス。
展望台での心理戦に終盤の飛行機墜落アクションとその前後の人間ドラマ。
第二次世界大戦下、祖国を思うヒッチコックの当時の心情を感じさせながらも、
随所にヒッチコックらしい見せ場が散りばめられており、娯楽作として今に見ても十分に面白い映画です。