3.《ネタバレ》 母親と父親の違いというよりは、女と男の子どもへの想いの違いがハッキリ描かれているな~と思いました。
もしかして実の子どもに対してなら、男も女と同じくらい強い想いを持つのかもしれませんが…(シモンは養子なので)。
自分の命や人生と引き換えにしてでも無事に子どもに戻ってほしい、という気持ちは、ラウラにはあっても、夫にはなかった。
それは、実の親を持たない孤児だったラウラだから持てた、シモンへの想い、シモンとの絆だったのかもしれません。
だからこそ、想いあっている母と子が、最悪のタイミングですれ違ってしまったため、悲劇的な別れをしてしまった、その結末がどうしようもなく、哀しい。
ホラーテイストな演出も、その哀しい結末を彩るためのものであって、映画のメッセージをさらに強く伝えて来ます。
思ったのですが、ラストをあまりにつらいアン・ハッピーエンドにしない為、ラウラとシモンをエイズであるという設定にしたのでしょうね。
遠からず死ぬ運命の2人ならば、予想より早い死を迎えてしまったとしても、あちらの世界で2人が再会できた事を喜ぶことができる。
これが健康体の2人だったら、最後で夫が安堵を得る事もないでしょうし、哀しいというよりはつらいだけのラストになってしまったでしょう。
そうしたら、ここまで観る側の心を揺さぶらなかったハズ。やりすぎないという、そこら辺のサジ加減も、絶妙です。
非常に綿密に考えられたラストだし、全体に丁寧に愛情を持って作られています。
感性が素晴らしくて職人肌の監督なのでしょう。派手ではないけれど、ファンも多いのではないでしょうか。
私はつらすぎて二度目はしばらく観ないけれど、監督の他の作品をぜひ観たいです。