1.《ネタバレ》 父親に虐待されてる隣のロシア人の息子が、主人公宅からピストルを持ち出して、父を撃ってしまう。そのピストルってのは、警官殺しに使用されたという、かなりヤバい奴。という訳で、ピストルを持って家を飛び出した少年と、その行方を追う主人公。さらには肝心のピストルも少年の手を離れてしまい、三者三様に動き始める。
ってんだからコレ、かなりオモシロい作品、のはずなんですけどね。書いてるだけでもワクワクしてきます。邦題の「ポール・ウォーカー主演だから『ワイルド何とか』でいいだろ」という安直さが、さらにワクワクさせます。さらには、悪徳刑事の暗躍、アヤシゲな夫婦の登場、主人公の妻の活躍と、盛り上げる要素には事欠きません。
という訳で、オモシロい作品になるはずのせっかくの「いいネタ」をこれだけ揃えたのに、だったらもうちょっとウマい見せ方あるんじゃないの、と、ちょっと勿体ない。
画面を何となく暗くして何となく揺らしてやれば、何となくダークな雰囲気になるだろう、といった感じの、もうひとつ見栄えのしない映像が続き、サスペンスフルなはずのシチュエーションでもあまりドキドキさせるものが感じられません。コワいシーンのはずなのにコワくない。物語も、さまざまな登場人物を配置してやや複雑化しているのを、うまく捌ききれず、何だか繋がりが悪い印象。終盤には「意外な真相」を3連発くらいカマしてくれるけれど、もともとゴチャゴチャしているので、せっかくの意外性も「え? あっそう」止まり。
と、いろいろ文句を言いたくなるのも、基本的には本作に魅力を感じるからで、「オモシロい作品を作ってやろう」という意気込みは、これは確かなもの。無表情だった少年が最後に感情を露わにするのも、定番の演出ではあるけれど、しっかりツボを押さえてます。