26.《ネタバレ》 いま見終わりました。
メキシコから運ばれる麻薬は膨大だと聞きます。麻薬は当然カネに成る。カネに成ると言う事は
合法非合法問わず人間がそれに群がり、その莫大な利権を周旋調整する人間が
メキシコ、アメリカ双方に必要に成るはずなのに
特にブルーのアメリカ側でそれが全く描かれてませんでした。
描かれてないのは意図的に描かなかった、とも取れます。
イエローのメキシコ側では警察は腐敗し国境警備軍(?)の将軍も
麻薬カルテルの手下に成り下がっている。これが現実です。
劇中メキシコ国境での摘発を描いてましたが、関係者の皆が威勢よく各部署を闊歩します。
飛行機の中(?)の会議で麻薬撲滅部の本部長であるマイケルダグラスが語調鋭く自論をぶち上げ
各部の代表にも斬新な意見を求めます。でも誰も何も言わない。黙り込んでいる。何故か?
その答えは麻薬の売人の1人が捕まって、免責を受け元締めの裁判で証言をする為に
命を狙われるので警察に軟禁状態にされます。そこで彼が言います。
「お前等のやってる事は結局無駄なんだよ。麻薬戦争とお前等は言うがそんな物はとっくに終わっているんだ。お前等はもうとっくに負けているんだ」と。
そう、アメリカはもう負けていたと言う事です。それは政府も重々知っている。
本当の麻薬ルートというのはもっと合法的に、しかも大量に運ばれて来ると聞きます。
それには全く触れられて無い。圧力整形の人形ルートだけが僅かに言われただけです。
終盤でマイケルダグラスの娘が麻薬中毒になり
自らその職を辞する場面が有りますが あれは自分の家庭を優先したという事ではなく
もうとっくの昔に勝負が付いているにも関わらず
それを知らされていないアメリカ国民の溜飲を下げる為だけに
自分が政治家、官僚に利用されている事に気が付いたからではないでしょうか?
結局の所、この監督さんは麻薬撲滅戦争などと高らかに謳っている
アメリカ政府の偽善と欺瞞をこの映画で描きたかったのかも知れません。
しかもこんな偏屈な切り口で
しかしながらその麻薬撲滅の現場で働く人間は諦めてません。
建前のみのスローガンを掲げて実際はやる気の無い当局上層部とは違って
多少のブレは有ってもその正義を貫かんとする為に命を掛けています。
それをこの監督はラストにやさしく描いています。
そういう意味合いで1点プラスしました。